廃LED素子からのガリウム分離回収と金の濃縮
当研究室と法政大学研究開発センターは、アイリスオーヤマ(株)とハリタ金属(株)と協力して、図1に示すようなLED照明のリサイクル事業スキームを業界で初めて構築しました。このスキームに基づいて、2016年4月からLED照明のリサイクルの事業化がなされました。
また、当研究室では、本事業スキームにおいて、廃LED素子からレアメタルのガリウムと金を回収できるように、図2に示すような還元噴流床式の有価金属リサイクル装置を開発しました。この装置では、ガリウムがGa2O(g)のという形で蒸気になりやすいという性質を利用しており、Ga2O(g)蒸気の圧力が高くなるように、酸素の圧力と温度などを制御しています。この装置設計のために、固体の反応に関する化学熱力学と反応速度論の知識を活用しました。なお、この技術に関しては、ガリウムやインジウムなどの分離・回収する技術として日米中にて国際的な特許を取得しております。
さらに、還元噴流床式のリサイクル装置の検討のために、図3に示すような有限体積法による熱流体シミュレーションも行っています。熱流体シミュレーションにより、実際には観察が困難な還元噴流床内のガスの流れや温度分布を可視化することが可能となります。このように、当研究室では、装置改良のための指針を与えるためのツールとして、熱流体シミュレーションの手法も取り入れています。