異常発熱に対するロバスト設計をした高温用強誘電体薄膜の作製
第3次人工知能(AI)ブームにより、AIが自動車や介護などの人命に関わる産業分野にまで参入しました。そのため、そこで、異常発熱から安全確保までの間、正常に作動する高温用コンデンサ材料の開発が急務となっています。
そこで、当研究室では、高温用コンデンサ材料としてBaTi2O5に着目しています。BaTi2O5は、明石ら(東北大在籍時)らと秋重ら(島根大)による個別の研究によって、2003年に日本で発見された強誘電体です。BaTi2O5は、475 ℃までの高温で作動すること、BaTiO3よりも高い誘電率を示すこと、<010>方向に強誘電性を示すこと、鉛フリーであることを特徴としています。
本研究室では、この強誘電体の実用化をターゲットに置いて、BaTi2O5を異常発熱時に、BaTiO3を正常時に機能させるようなロバスト設計を行い、図1に示すようなBaTi2O5-BaTiO3コンポジット薄膜コンデンサの開発を行っています。
現在までの研究で、図2に示すような均一な厚さの薄膜を作製しました。現在は、この膜の誘電特性の向上に向けた研究開発に取り組んでいます。
フラッシュ焼結による炭化ケイ素基コンポジット多孔体の作製
炭化ケイ素(SiC)は、高温での耐久性や機械的特性に優れる材料です。しかし、炭化ケイ素の原料粉末からセラミック製品を作製することが困難であるため、例えば、2000 ℃、1 cm2当たり500 kgfの高温高圧で焼結する設備が必要となります。
当研究室では、小型の真空蒸着装置を改造し、図3に示すように原料粉末からなる成形体に直接通電することにより、1分以内の短時間焼結で炭化ケイ素の多孔体を作製するための技術を開発しています。